矯正歯科学会 2024
こんにちは、矯正担当の横川です。
先日、日本矯正歯科学会学術大会が開催されました。今回のメインテーマは〖矯正歯科治療における形態と機能の調和を目指して〗です。講演の内容が面白そうなものが多かったこと、パシフィコ横浜での開催と言うこともあって、3日間フル参加してきました。
様々な講演を聴くことができましたが、そのなかでもとても興味深かったのは、『外科的矯正治療の今』をテーマにした、3人の先生方の顎矯正歯科治療についての講演です。
顎矯正歯科治療とは、先天的に顎の骨がない、歯の数が極端に少ない、顎に変形があるなど、顎の形態や口腔機能に問題があり、普通の矯正治療では治せない場合に矯正治療と外科手術を一緒に行う治療です。また顎矯正歯科治療は①手術前の矯正治療、②外科手術、③手術後の矯正治療、と3段階に分けて行います。
私が大学病院に勤務していた頃、外科的矯正治療が必要な患者さんを数名担当させて頂きました。手術の際には一緒にオペ室に入って見学をしたり、手術後に矯正装置を口腔内に装着したりと、ほんの少しですが手術にも携わらさせて頂きました。
顎矯正歯科治療の一例を紹介します。
手術前の矯正で上の顎の位置や歯並びを決め、下の歯も並べる。入院して外科手術で下の顎の骨切りを行い、上の歯列と噛み合わせて固定する。退院時に噛み合わせの固定を外して、手術後の矯正治療を行う。
この頃は手術前のシミュレーションとして、歯型を削って並べるモデルサージェリーを行い、上下を噛み合わせるプレートや手術後に着ける矯正のワイヤーを作製したり、トレーシングペーパーを使ってペーパーサージェリーを行っていました。かなり原始的な方法なので、患者さんも不安でいっぱいだったと思います。
しかし今回の講演で紹介された技術は、私の想像を遥かに超えるものでした(○_○)!!
手術のシミュレーションに3次元の映像を使用するのは勿論ですが、そのシミュレーション画像からCAD/CAM技術を用いて、上下の歯列を噛み合わせるプレートや顎の位置を決定するプレートを作製することができます。
実際の手術では、手術中にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、患者さんの手術する部位にホログラム投影を行い、安全で高精度の手術を行うことが可能になったのです。手術中に、遠隔地の先生に指示を仰ぐことも出来ます。
これらの技術により、手術時間の短縮と手術中の出血量を減少させることが出来きるため、患者さんへの負担も軽減されます。
それだけに留まらず、VR技術を用いて学生の手術実習を行ったり、360度カメラを用いて手術をする人目線で学修することが可能なコンテンツも開発されました。
今後は、外科手術だけでなく、他の歯科の分野にも応用されることを期待したいと思います。
今度みなとみらいで学会があったら、観覧車やロープウェイに乗ってみたいです!